1. はじめに

INSは1990年代によく利用され2024年に終了が発表されているサービスです。
利用できる帯域も狭く終了が発表されているものの、未だに230万件程度の利用があるなど、非常に根強いサービスです。これは恐らく電話番号(やメンバーズネット)を利用したセキュリティの確保がそれなりに安易である事や回線交換方式という仕組み上、利用帯域を確保し易い事があるのではと思います。

2. INS接続の設定

CiscoルータでINS接続の設定を実施する場合、接続する両端で設定を実施する必要があります。
以下は発信受信できるルータ設定と受信のみできるルータの設定です。

  • 発信も受信もできるルータIの設定例
(config)# username Router_J password *******
(config)# isdn switch-type ntt
(config)# interface BRI0/0/0
(config-if)# ip address 192.168.0.1 255.255.255.0
(config-if)# encapsulation ppp
(config-if)# dialer idle-timeout 300
(config-if)# dialer map ip 192.168.0.2 name Router_J 03123456788
(config-if)# dialer-group 1
(config-if)# ppp authentication chap
(config-if)# dialer load-threshold 128 either
(config-if)# ppp multilink
(config-if)# exit
(config)# dialer-list 1 protocol ip permit
  • 受信のみできるルータJの設定
(config)# username Router_I password *******
(config)# isdn switch-type ntt
(config)# interface BRI0/0/0
(config-if)# ip address 192.168.0.1 255.255.255.0
(config-if)# bandwidth 56
(config-if)# encapsulation ppp
(config-if)# dialer caller 03123456789
(config-if)# ppp authentication chap
(config-if)# dialer load-threshold 128 either
(config-if)# ppp multilink
(config-if)# exit

参考URL:

3. 確認コマンド

確認向けに以下のコマンドがある。

コマンド 説明
ping X.X.X.X Dialerインタフェースは利用していない時はDown状態です。接続性を確認する際にはPingによる疎通確認が役立ちます。
show interface BRI,Dialerインタフェースのリンク状態及び通信発生状況,エラーカウンタ等を確認できます。
show dialer DDR用に設定されたインタフェース接続状態を確認できます。またINSの場合は接続元情報や切断までの時間も確認する事ができます。
show isdn active 現在有効なコールに関する情報を確認する事ができます。
show user ルータのアクティブ回線に関する情報を表示します。
show log ルータのログを表示します。
debug dialer [ events | packets] dialerに関するdebug情報を出力します。大量にログが画面上に出力される場合がありますので、”no terminal monitor”を実施した上で利用する事をお勧めします。
debug ppp negotiation ppp認証に関するdebug情報を出力します。大量にログが画面上に出力される場合がありますので、”no terminal monitor”を実施した上で利用する事をお勧めします。

4. 注意点

4-1. Dialer設定アドレスはルーティングテーブルにインストールされる

INSを構成した場合、Dialerインタフェースへの経路がルーティングテーブルに残るように、ルータは常にup/upとする。その為、INSが構成されると自身のDialerアドレス及び対向のDialerアドレスをConnectで持つ。Dialerアドレスを元にTrack設定を実施したり、Dialerアドレスが動的ルーティングの範囲に含まれる場合は注意が必要である。

4-2. BRIモジュールのINSとBRIの切り替えについて

INSも専用線接続も同じBRIインタフェースを利用します。この切り替えを”isdn leased-line”コマンドで実施します。

BRI64kで利用する。

(config)# isdn leased-line BRI0/0/0

BRI128kで利用する。

(config)# isdn leased-line BRI0/0/0 128

INSで利用する。

(config)# isdn switch-type ntt
(config)# no isdn leased-line BRI0/0/0

その他トラブルシュートに関する役立つ資料

INSのデジタルモードは終了予定

INSのデジタルモード(G4)の提供は2024年初めに提供終了となる予定です。現在のルータの設定見直しの為であれば良いですが、基本的にはINS回線によるデジタル通信は廃止し、5G/4G回線若しくはデータコネクト等の代替サービスに切り替えるようにしましょう。

コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)